HONEY TRAP(1)~上司は身勝手な婚約者~
花見は皆一品持ち寄りで、後は屋台で買い足すのが毎年の慣例。
柾史の言う通り桜は満開だった。
周囲も私達と同じように花見を楽しもうと休日の朝なのに、大勢の人で賑わっていた。
「羽瀬」
柾史もみんなの前では苗字でよそよそしく呼ぶ。
柾史は上着のポケットに忍ばせていたデジタルカメラで私を撮影する。
少し冷たい風に吹かれ、桜の花びらが粉雪のように舞い降りてきた。
春限定の幻想的な光景にしばし、私の目は釘付けになる。
「桜の花弁が舞う中に座る羽瀬は絵になるな」
「あ…柾史!?」
「柾史??」
「あ…」
ビールを飲んでいた長尾君が私をキョトンとして見つめる。
私は口許を押さえ、狼狽して柾史に助け舟を求めた。
「長尾…俺と羽瀬は付き合っているんだ。でも、しばらくは他の連中に黙っておいてくれ」
「は、はい」
「部長命令だ!」
「は、はい!!」
長尾君は立ち上がって軍隊のように背筋をピンと伸ばし直立不動で返事をする。
柾史の言う通り桜は満開だった。
周囲も私達と同じように花見を楽しもうと休日の朝なのに、大勢の人で賑わっていた。
「羽瀬」
柾史もみんなの前では苗字でよそよそしく呼ぶ。
柾史は上着のポケットに忍ばせていたデジタルカメラで私を撮影する。
少し冷たい風に吹かれ、桜の花びらが粉雪のように舞い降りてきた。
春限定の幻想的な光景にしばし、私の目は釘付けになる。
「桜の花弁が舞う中に座る羽瀬は絵になるな」
「あ…柾史!?」
「柾史??」
「あ…」
ビールを飲んでいた長尾君が私をキョトンとして見つめる。
私は口許を押さえ、狼狽して柾史に助け舟を求めた。
「長尾…俺と羽瀬は付き合っているんだ。でも、しばらくは他の連中に黙っておいてくれ」
「は、はい」
「部長命令だ!」
「は、はい!!」
長尾君は立ち上がって軍隊のように背筋をピンと伸ばし直立不動で返事をする。