HONEY TRAP(1)~上司は身勝手な婚約者~
「佐野お前は確か…大学時代から憧れの建築家の名屋氏の事務所で働いて、そのまま就職したっけ?」



浅見は思い出すようなゆっくりとした口調で問いかける。




「ああ、そのまま名屋氏の事務所に就職した」



名屋さんは俺の憧れの建築家だった。浅見さんのように派手で個性的なデザインではないけど。



彼のデザインする建物もまた独創的で芸術性が高かった。


俺は彼のデザインする建築物に惚れて、直談判して事務所のバイトを始めた。



バイトと言っても、ほとんどボランティアで給料はなかった。憧れの人の下で働けるコトが嬉しくて、お金なんて二の次だった。





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