HONEY TRAP(1)~上司は身勝手な婚約者~
私が踵を返すと柾史が一言呟く。



「女子会終わったら、メールしろ。迎えに来てやる」



「タクシーで帰るし…いいよ」



「いいから…迎えに行く!!後、記憶を失うまで飲むなよ!!それから、変な男に付いて行くなっ!!」



柾史は次から次へと言葉を付け足して行く。その言葉はまるで私のお父さんのようだった。





「部長って私のお父さんみたい…」




「お父さん?」




「朝は私のお母さんみたいに朝食作ってくれるし、起こしてくれる。部長って私の保護者って感じ」




「保護者って・・・」



柾史は頬を膨らまし、子供のように怒った。


「ゴメンゴメン…夜は私の恋人ね…」



「面倒臭そうに言いやがって…気に入らない…」




私は背中越しに柾史の舌打ちを訊いて執務室を出た。






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