HONEY TRAP(1)~上司は身勝手な婚約者~
「俺の命令通り、酔い潰れるまでは飲んでないな…」

満足げに口許を歪ませる。



「別に柾史の命令に従ったワケじゃないわ…」

私は彼の態度にカチンとして言い返す。余計なコトを言っていると言う自覚があるけど柾史に反抗したかった。

彼が意地悪なコト言うから悪いのよ。




「缶コーヒーだけもらっておくよ」



柾史はパソコンのキーを叩くのを止めて、缶コーヒーのプルトップに指をかける。



「ご自由に」



柾史は缶コーヒーを一口飲んだ。



仄暗い執務室で二人っきり。私は急に意識し始めて、心臓が急に暴れ出した。




「急に黙ってどうした?」



「別に…」



私の騒がしい心臓の音が聞えるのではないかと思うくらい、私達の周りは静かだった。














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