HONEY TRAP(1)~上司は身勝手な婚約者~
椅子に座る柾史は私の方に椅子を向けて、両手を腰に伸ばした。



彼の足の間に立たされたような体勢に。


私の心臓は一層騒がしくなって内側を激しく叩く。



「ち、ちょっと!?」




柾史は私の胸許に頬を寄せる。




「美味そうな匂いがするな…俺なんてコンビニ弁当しか食ってないのに…」


柾史は恨めしく呟きながら、私の顔を下から見つめ上げた。



普段は上から見下ろされた感じて見つめられる。

彼の上目遣いの瞳に新たな魅力を見つけてドキッとした。


「し、仕事しなさいよ…」



「二人だし…イケないコトしてみる?」



「仕事は?」



「部屋に帰っても出来るさ。優奈の心臓がドキドキしてるのは俺に何か期待してんだろ?」


「ち、違います…」



柾史はギュッと抱き締めて私の胸元に頬を埋めて、加速した鼓動に耳を立てた。









< 165 / 402 >

この作品をシェア

pagetop