HONEY TRAP(1)~上司は身勝手な婚約者~
~柾史side~
常務の用事は俺の度肝を抜いた話だった。
優奈が見合いって…
それも、見合い相手が、今は時めく最年少総理大臣の弟だなんて・・・
優奈は俺に救いの視線を向けたが、ハイスペックな見合い相手に太刀打ちできる力なんて俺にはない。沈黙するしかなかった。
俺を悲しそうに見つめる優奈の瞳を見ていると苦しく切なかった。
「俺に話とは何ですか?」
「これで、お前の社長の椅子は夢で終わったな」
「常務貴方が…優奈の見合いを…」
「尚也様の叔父である帝和銀行の伊集院頭取が持って来た話だ。最初はわしの娘にと来たが…娘は好きな相手が居ると頑なに拒んでな。相手を訊くと佐野部長だと言うんだ…君は一度、わしの娘に手を出したらしいな」
「10年も前ですけど…10年前のコトを蒸し返されても…困ります」
「何年経とうが…わしから見れば大切な娘だ!」
この父にしてこの娘か…
この常務親子とはこれ以上関わり合いたくない。
優奈が見合いって…
それも、見合い相手が、今は時めく最年少総理大臣の弟だなんて・・・
優奈は俺に救いの視線を向けたが、ハイスペックな見合い相手に太刀打ちできる力なんて俺にはない。沈黙するしかなかった。
俺を悲しそうに見つめる優奈の瞳を見ていると苦しく切なかった。
「俺に話とは何ですか?」
「これで、お前の社長の椅子は夢で終わったな」
「常務貴方が…優奈の見合いを…」
「尚也様の叔父である帝和銀行の伊集院頭取が持って来た話だ。最初はわしの娘にと来たが…娘は好きな相手が居ると頑なに拒んでな。相手を訊くと佐野部長だと言うんだ…君は一度、わしの娘に手を出したらしいな」
「10年も前ですけど…10年前のコトを蒸し返されても…困ります」
「何年経とうが…わしから見れば大切な娘だ!」
この父にしてこの娘か…
この常務親子とはこれ以上関わり合いたくない。