HONEY TRAP(1)~上司は身勝手な婚約者~
イケメンの整った顔って、怒ると他の人よりも迫力が増すコトを知った。


「べ、別…佐野部長って素敵な人だと言い合っていたんです」



「そうか…それは良かった」




佐野部長は安堵したような吐息を漏らし、私の隣の空席に腰を下ろす。



「どうしてそこに座るんですか?」



食堂のテーブルは余るくらい沢山あるのに、何故か私の隣に座って来た。



「…羽瀬ともっとお近づきになりたくて…」



「さ、佐野部長!?」



「…羽瀬さん、本社一のイケメンに気に入られているんだ…」




井上さんの羨望の眼差しは益々強くなり、嫉妬まで見え隠れする。周囲の社員達も俄かに私を注目する。




本社一のイケメンが気に入った女性と。


皆が私に向ける視線は何処か好奇じみていた。






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