HONEY TRAP(1)~上司は身勝手な婚約者~
俺は病室から優奈を連れ出した。


大きなガラス窓の向うには中庭の緑の木々が生い茂り、沈みかけの黄金色の太陽の光が眩しいくらい射し込む。



夕陽に輝く優奈の姿。

俺は一生忘れないだろう…

俺の人生の中で最初で最後に愛した女性だと思う。俺の胸の中は、優奈を想う愛しさで今も焦がれている。


だから、俺はお前の為に亜矢子との結婚を承諾した。



「優奈お前に話しておきたいコトがある…」



「何?」



「俺、亜矢子と結婚する。お前は伊集院さんと結婚して幸せになれ」




「ま、柾史!?」




優奈は悲しげに俺の名前を紡ぐ。



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