HONEY TRAP(1)~上司は身勝手な婚約者~
「常務は俺が亜矢子と結婚したら、専務の椅子をくれると約束した…」
「柾史…」
「お前と居ても何のメリットもないと思っていた。いつ、別れようかとずっと考えていたんだ。丁度いい機会だ」
「メリットって…」
「社長も余命半年の命。会社が常務の手に渡る日もそう遠くないだろう。俺も自分の身の振り方を決めないとな」
「だから…亜矢子さんと結婚するの?」
「お前だって伊集院さんと結婚するんだろ?互いに相手が居るんだ。いいじゃないか…」
優奈の瞳は涙を滲ませる。瞳に溜まった涙は堰止められているが頬を伝うのは時間の問題。
優奈の涙が俺の決意を鈍らせて、このまま抱き寄せてしまいたいと思わせる。
「最初から、俺はお前を愛していなかった。俺は社長の椅子と財産目当てで社長の話に乗った。でも、その話も水の泡となって消えてしまいそうだ。だから、俺は亜矢子と結婚する」
「柾史は最初から私ではなくても良かったと言うの?」
「そうだ」
俺は毅然として返す。
「柾史…」
「お前と居ても何のメリットもないと思っていた。いつ、別れようかとずっと考えていたんだ。丁度いい機会だ」
「メリットって…」
「社長も余命半年の命。会社が常務の手に渡る日もそう遠くないだろう。俺も自分の身の振り方を決めないとな」
「だから…亜矢子さんと結婚するの?」
「お前だって伊集院さんと結婚するんだろ?互いに相手が居るんだ。いいじゃないか…」
優奈の瞳は涙を滲ませる。瞳に溜まった涙は堰止められているが頬を伝うのは時間の問題。
優奈の涙が俺の決意を鈍らせて、このまま抱き寄せてしまいたいと思わせる。
「最初から、俺はお前を愛していなかった。俺は社長の椅子と財産目当てで社長の話に乗った。でも、その話も水の泡となって消えてしまいそうだ。だから、俺は亜矢子と結婚する」
「柾史は最初から私ではなくても良かったと言うの?」
「そうだ」
俺は毅然として返す。