HONEY TRAP(1)~上司は身勝手な婚約者~
俺が予想していた展開なのに…



俺は心の中で泣いていた。このまま、嘘だと言ってギュッと抱き締めて愛を囁いてキスしたい。



愛しい人…



俺の家族にしたいと思った女。




お互いに家族を失った俺達。



俺はお前と結婚して、新たな家族を作り、幸せな家庭を夢見ていた。



俺の描く未来予想図の中にお前はいた。まだ、見ぬ俺達の子供と共に…



「一生、俺を恨めばいい…でも、愛は捨ててくれ」


俺は優奈の二つの拳を両手で包み込んでやんわりと胸板から離した。



「柾…史」


キス出来そうな至近距離がとても辛い。


俺は募らせた想いを断ち切るように優奈の拳を解放した。


俺はお前への愛は一生捨てないけど、お前は俺のコトなど忘れて幸せになってくれ。















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