HONEY TRAP(1)~上司は身勝手な婚約者~
吉良さんは小さな白い仔猫を拾っていた。



私はスーツを着て、吉良さんと一緒に段ボールの中の仔猫を覗き見る。



「可愛い…」



「ミャーミャー」と弱々しい声で啼く仔猫。



「お腹を空かしているんだな…でも、ラブホの冷蔵庫の中には牛乳なかったし」



吉良さんは頬に手を当てて考え込んだ。



吉良さんの言葉で今居る場所がラブホだったと知った。



「吉良さん、どうして猫が居るんですか?」



「優奈ちゃん君はこの仔猫ちゃんに感謝しないと」



「へっ?」




「君は仔猫の啼き声で俺に見つけられたんだ…」



吉良さんの話では私は仔猫が捨てられていた段ボールの隣で眠っていたらしい。
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