HONEY TRAP(1)~上司は身勝手な婚約者~
私は家に戻り、吉良さんに謝った。



「ゴメンなさい…お爺様が変なコトを言って…」



「結婚の話?」




「はい」



吉良さんはキッチンルームに入って、帰りがけにスーパーで買った食材を冷蔵庫に詰め込んだ。




「恭介でいいよ。優奈…」




「吉良さん?」




「同棲していると言えば、たぶん…近江さんは今すぐに結婚しろと言ってかもしれない…」




「恭介…」




私は小さな声で初めて吉良さんを下の名前で呼んだ。





「これからもそう呼んで…俺もようやく…芽衣子を忘れられそうだ…だから、君の柾史を忘れて欲しい」





「恭…介!?」









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