HONEY TRAP(1)~上司は身勝手な婚約者~
麻衣子さんは私の身体を押しのけて、強引に病室の中に入り込んだ。



「私に話って…何ですか?」




麻衣子さんが恭介に恋愛感情を持っているコトは明らかだった。


彼女は、私と恭介の結婚を納得していない。




「貴方…恭介と同時進行で他の男と付き合っていたでしょ?」




「どうして…それを?」




「否定はしないのね…大した女」




麻衣子さんはマー君の眠るベットに近づいた。




「この子は新生児です!触れるなら手をしっかりと消毒して触って下さい!!」




「うるさいわね!この子は本当に恭介の子なの!?」



「それは…」




麻衣子さんはマー君の枕元に手を伸ばした。



そして、指先で何かを摘まみ上げた。




「これくらい、あればいいかしら?」


麻衣子さんからバックからハンカチを取り出して、大事そうに挟んだ。



麻衣子さんが挟んだのはマー君の抜けた頭の毛だった。



「何をする気ですか!!?」


「別に…用は済んだし…帰るわ」



「麻衣子さん!?」


麻衣子さんは踵を返して病室を出て行った。

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