HONEY TRAP(1)~上司は身勝手な婚約者~
「本当にこの子はB型ですか?諏訪部先生」



「生まれたての赤ちゃんの血液型は安定してない。もしかしたら、違う可能性もあります。本当の血液型が知りたければ、1年後くらいにもう一度、血液検査をすればいいと思います」



「違う可能性もあるんですか…そうですか」



恭介は相変わらず口を噤んで考え込んだ表情。




私達は諏訪部先生に一礼をして、診察室を出る。





「血が繋がってなくても、その子は戸籍上は俺と優奈の子供だ」




「恭…介」




「子供の成長は順調だけど、母体側の優奈の産後の肥立ちが少し悪いと言っていただろ?だから、優奈…気にしない方がいいよ。最初から…ある程度…予想していたコトだし、俺は別に気にしていない」





恭介は淡々として言葉を紡ぎ、コートのポケットから車のキーを取り出した。





「帰ろう…優奈」





「うん」






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