HONEY TRAP(1)~上司は身勝手な婚約者~
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晴れ渡った5月の空に向かって恭介が搭乗した飛行機は空港を発った。



「行ってしまったな…」



浅見さんの低い声が展望デッキに響く。




「うん」




「俺は二人の仲を干渉するつもりはないけど…本当にこれで良かったのか?」





「結婚生活を続けていても、たぶん何処かで歪みが出ていたと思う」




「恭介は自分のコトよりも他人を思い遣る男だからな。恭介の子供ではなく他の男の子を産んでしまった優奈ちゃんがその恭介の優しさを重荷に思うようになるのは目に見えていたが。それでも、恭介は本気で家族になりたいと思っていた」


本当の家族…


「『ジーザス』の元同僚に訊くと社内で、恭介の家族を誹謗中傷する噂が流れていたらしい」



「家族って私のコトですか?」




「そうだ。奥さんの産んだ子は恭介の子じゃない。奥さんはビッチで拓卵女だと」






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