HONEY TRAP(1)~上司は身勝手な婚約者~
「何、勝手に変なコト言うんですか!!?」



「…俺では不満か?」




「不満とかじゃなくて…」



「…あんな男…俺のカラダで忘れさせてやるよ」



「え、あ・・・」



佐野部長はビールで濡れた前髪を掻き上げて、私を誘うように見つめる。



髪は黒いのに、瞳は色素の薄い茶色がかった切れ長の瞳。




彼は日本人なのに、瞳の色がエキゾチックな雰囲気を漂わせる。
顔の彫りがきっと外人のように深いせいだろう。


「部長の様な身勝手な男は初めてです…」




「身勝手か…そうだな…」




佐野部長はあっさりと私の中傷に相槌を打つ。部長は私が何を言ってものらりくらりとかわす。


部長に口では勝てないかもしれない。


でも、このまま部長に口説かれ、懐柔されていくのは嫌だ。



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