HONEY TRAP(1)~上司は身勝手な婚約者~
私は譲君のコトも忘れたくて、佐野部長よりもピッチをあげて缶ビールやチューハイを飲み干していった。




「お前…飲み過ぎだぞ!!」




「…いいんでちゅ…のませてくらさい・・・」




私は酔いが回り、舌の呂律も赤ちゃん言葉になっていた。




「・・・あらし、わかってまちた・・・」




私は佐野部長の肩に寄りかかる。



時間が経つに連れて、譲君とはもう恋人に戻れないんだと自覚し始めていた。




あの場では一滴も涙が出なかったのに…




今にもなって、鼻の奥がツンとして瞼の裏が熱くなって涙が零れる。

< 47 / 402 >

この作品をシェア

pagetop