HONEY TRAP(1)~上司は身勝手な婚約者~
「貪欲に求めたクセに…」



「昨日の夜の出来事は言わないで…」



「俺は昨日の夜だけで終わるつもりないぞ」



「ふん…私は昨日の夜だけで十分よ…」



「全然、記憶がないクセに…」




「記憶がなくても、部長みたいな図々しい男はタイプじゃないの」





「いくら俺の方の立場が弱いとは言え、これだけコケにされると…腹が立つな」




赤信号で車は停止、部長はパワーウィンドーを少し開け、上着のポケットから煙草とジッポを取り出した。



この芳しいバニラ臭は1箱1000円する『ザ・ピース』
彼の持つライターは私と同じデュポン社のギャツビー。


ギャツビーの中でも、国際定番からラッカー仕様がなくなっている中で唯一、日本に向けに製造されたラッカーブラック。希少価値のあるライターだ。



私も煙草を吸いたくなって来た。




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