HONEY TRAP(1)~上司は身勝手な婚約者~
「へ、へ、変なコトしたら、わ、私大声で叫んじゃいますから」



私は何度も噛んでしまって部長の笑いを誘う。



部長が笑うと切れ長の瞳の目尻が少し垂れ下がる。


部長の笑顔は若返り、何処か少年っぽく見える所がいい。



「変なコトって何だ?言ってみろ。羽瀬」



わかりきったコトを知らない振りをして訊いて来る部長。



彼は意地悪だ。


「佐野部長のさはサディストのサですね」



反撃するけど、部長にダメージを与えるだけの破壊力はなかった。



「面白い。座布団3枚あげようか?」


別に『笑点』のように観客の笑いを誘ったワケじゃない。



「座布団なんていりません」


「じゃあ、何が望みだ?褒美のキスか?」











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