退魔術師
背を向けたまま表情は分からないが空気がピリッと重いのは分かる

1つ教えてあげる
真実が見えてないから
辛くて苦しいのは残された被害者加害者だけじゃない

そう答えながら振り返る彼女の瞳の奥に見える氷のように鋭くどこかさみし気な炎
無邪気な子供っぽさを見せながら不意に見せる大人の雰囲気に思わずドキリとする

と彼女は他の仲間にアイコンタクトをとると
来るぞと一言添えどこから出したのか自分と同じ身長ぐらいの扇子を構えた

一瞬の静寂は彼女の美しい声にたちまち消えた
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