退魔術師
いつの間にか移動してきたおばあさんが僕の横に立つと

あのとき
せめて子供達だけでも
そんな思いでとっさに
体が動いた
けれどそんな考えとはうらはらに運命は残酷で
自分の身体が目の前にあるのを見たとき
もうこの世の住人ではないと悟った
それはもはや絶望だった
新しい事件が起これば私たちの事は忘れられてしまう
だけど事件があった事は決して忘れてはいけない
二度と同じ過ちを繰り返さないためにも
被害者、加害者だけが背負うんじゃない
私たちが犠牲になった事を無駄にしないで

誰に言い聞かせるわけでもなく
心に響く

僕らにもできることもありますか?

そう問いかける僕に退魔師の彼女の保護みたいな青年がやさしく答える

できることはあるよお盆以外にも些細な事でもいい嬉しいこと辛いこと全部吐き出せばいい
見えなくても聞いてるから
それに地域防犯も孤独死防犯になるから一石二鳥でしょう

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