退魔術師
私は宮田秋(仮)(享年23)職業OL
工事現場で落下した鉄板の下敷きで亡くなった、ほぼ即死

なんで今日だったのだろうか
選択が間違いだったのだろうか
彼女が私を見つけてくれた時は正直嬉しかった
ずっと独りだったから
気が付いてもらえなかったから
私はここにいるのに

公園付近で佇む若い女性を見かけた
直感的にこっちの住人ではないと分かった
体が半分透けていた
彼女は社会人になったばかりの宮田秋(仮)
自宅に帰る途中工事現場の前で落ちてきた鉄鋼の下敷きになって亡くなった
宮田さんの両親はショックで母は寝込んでしまい兄妹は仏壇の前でふさぎ込んでしまった
しかも事故現場は自宅とは真逆らしく
あそこを通らなければ娘は死ななかったと父は悔しそうに俯いた
惜しくもこの日は彼女にとって初めての給料日だったらしい
彼女もまた亡くなった時のままの姿で
この世をさまよっている
未練に縛られこの場所から動くことができない
ほっとけば自爆霊に悪霊になりかねない
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