退魔術師
周りに冷たい風か吹き透けていた女性の姿がハッキリと現れた
それを見た年配女性は怪訝そうな顔をしていたが急に口に手を当て涙を浮かべた
数秒間の間をあけ
お父さーん秋が帰ってきたよー
と叫んだ
奥から何をバカな事を言ってるんだと父兄妹がぞろぞろと顔を出したが彼女の姿を見るなり持っていた荷物を落とした
夢でも見てるんじゃないかと言わんばかりにお互いの腕を引っ張りあってる親を僕は無理もないなと思った
玄関に飾ってある彼女の社会人の写真だろうか
何年も立っているのに変わらない姿のままで立っているのだから
そして彼女が伝えたかった言葉

『ただいま』

それはずっと家族も聞きたかった、最も欲しかった言葉だった
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