退魔術師
一生懸命笑おうとする彼女の姿に両親はただうなずくしかなかった
否かける言葉が見つからなかった

あの日彼女はもうすぐ小学生になるの家族ででランドセルを見にきていたのだった
あの後サプライズで祖父母からランドセルを貰う予定だったのだ
そう電話していた相手はこっそりサプライズを計画していた祖父母だった
孫娘の喜ぶ姿が見たくて
なのに
自分がこんな計画を立てたばかりに、立てなければ彼女は死なずにすんだのかも
ただ無念さだけが残る

ふと椅子から立ち上がった祖父母は病室を出てしばらくすると大きな包みを持って戻ってきた
それはあの日彼女に手渡されるハズだった待ち望んだ赤いランドセル
彼女はそれをみると両手を挙げて喜んだ
一回転するとランドセルを背負い黄色の帽子をかぶった姿に変わった
それはずっと家族が見たかった姿だった
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