退魔術師
だからこそ彼女に甘えていたのかもしれなかった
過信していたのかもしれない
その出来事は何の前触れもなく訪れた
それはいつものように人形退治を執行していた時だった
その日は普段より倍の数の人形相手に少し戸惑い時間がかかった
すでに精神体力供に疲労困憊の彼らは見逃していた
敵も毎回の事に学習したのだろう
一体のドールが包囲網の網から抜け出したのを
気付かなかった
一瞬の油断とはまさにこういうことだろうか
突然のことで力を使い果たした白虎はその場から逃れることができずギュツと目をつぶった

なにも起こらずおそるおそる目を開けると天照が自分の身代わりに人形の一撃を受けていた
退魔師は契約で死後魂が消滅することになっている
自分をおくった亡者にとりこまれないにするためである
よって退魔師は霊体になることも生まれ変わることもできなくなる
神々は転生することは可能だったが今回人形ぎ相討ちとして選んだ武器は地獄に保管されていたはずのたった1つしかない道化師の槍だった
これは退魔師の死後よりも最悪の武器で刺されたものの存在すら消してしまう恐ろしい凶器である
天照は最後の力を振り絞って人形に渾身の霊力を叩き込んだ
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