退魔術師
ぼんやりとしていると

こら何をサボっているんだと声がした
驚いて立ち上がると仲野警部補がゴメンゴメンと笑いながら歩いてきた
警部もコーヒーを買うと隣に座り暫くたわいのない話をした

会話が途切れたところで警部が
後悔する生き方はするんじゃないぞ
としみじみと語った
それはまるで孫と話す祖父のようだった
がすぐにいつもの警察官の顔に戻ると残りのコーヒーを飲み干し勢いよく立ち上がった
そして小川巡査の肩をポンとたたくと背中越しに
仕事がんばれと言い残し夜の廊下に消えていった

残された小川巡査も自分の分の缶を飲み終わると
唯一の楽しみの明日の非番を心待ちにしながら残りの書類を片付けようと部屋へと戻っていった
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