俺は、負けず嫌いで鉄面皮だから

また朝を迎えた冷夏は目覚時計をとめて、ぼんやりと窓外を眺めている。低血糖のせいで、冷夏の朝はずっと楽でないことなのだ。

両親さえ知らないこの低血糖は、大学に入って体重が激減したころから始まったんで、ちょうど短劇祭の時だった。

時は流れる。もう三年過ぎたとは、なかなか実感出来ない。

冷夏は支度を終えて玄関を出た際、振り返ってみたら、カーテンの隙は太陽光をもらして、部屋中は光で暈されている。

「どうでもいいや」、冷夏はため息をついて心の奥でそうと言った。

住まいから学校まで歩いて十分ほどかかる。冷夏は水の流れを見るのが気持ちいいし、なんとなく朝の通勤人ごみが苦手だし、とにかく、遠回りして、ゲートにたどり着いた時、朝美と恵美はもう待っていた。

「お待たせ、ありがとう。」と冷夏は走って近づいた。

大学生活ももうすぐ三年ちょうどはあるが、三人はこういう儀式のような待ち合わせから結束しているから。

「雨かもしれないね。」と恵美が言った。

冷夏も朝美も見上げて「うん」との返事だけをした、気が済まないと思い、返事を追加しようとする時、冷夏が呼び止められた。

「愛沢さん。」

確認すれば、クラスメートの林あおいが後ろから近づいてきて、慎みそうに「ちょっと時間をちょうだい」と言って、冷夏は返事していないうちでも先を行っていった。

行ってくるの合図を二人に送って、冷夏は林の後ろを継いだ。庭の隅に大きいザクロの木のかげに、ベンチは一つ。

「ね、愛沢さん、聞かせて。どうして高橋と、対立するようになったの。」

「なんで、いきなりこんな話。」

林は唇をかんで言った。「彼氏は、実は……」

「先輩から聞いているよ、」
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