もう弟なんてやめてやる。
夢を見た───。


陸が、泣いてる夢。


何で泣いてるの?
何でそんなに悲しそうなの?



────泣かないで。


陸が泣いたら

あたしまで悲しくなる。



『雫、好きだよ』


り、く………?


『もう、戻れない』


陸っ!

待って!行かないで!!



あたしはゆっくりと
瞼を開けた。


「……り、く…」

「……雫、起きたの!?」

「…穂乃華ちゃん?」



ボーッとする頭で顔を横に傾けると、

穂乃華ちゃんが心配そうな顔で
あたしを見ていた。

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