もう弟なんてやめてやる。
「………」

「………」


窓から差す月明かりで
雫の視界にぼんやりと人が見えて。


ボーッとする頭のまま
目が合って数秒…

雫がムクッと起き上がった。



「………陸…?」

「………うん」

「え、陸!?何で…?あ、これは…」



頭がハッキリしてきたのか
今の現状を必死に説明しようと

あたふたとする雫に
陸から笑みが自然とこぼれた。


雫は、何も変わってなくて。

でも同時に罪悪感で
胸が痛んだ。



「…俺が居ない間、ずっとここで寝てたの?」

「ご、ごめん…」

「俺が居なくて、寂しかった?」

「っ、」

「雫?」



ぎゅっとシーツを握って
俯く雫に、

俺はその場でしゃがみ込んだ。
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