もう弟なんてやめてやる。
「あのね、」

「うん」



クルッと俺の方を向いて
ギュッと自分の服を握りしめながら

目を泳がす雫に
俺まで緊張が移る。


何を言おうとしているのかと、


ドキドキと脈が
速くなるのが自分でも解った。



「あたし、陸に“好き”って言われて、最初凄く戸惑ったの」

「…………」



雫から出てきた言葉に
心臓がドクン、と脈打つ。


ああ…振られるんだな…
と頭の中によぎって。

グッと拳を握りしめる。


「っ」

陸がパッと雫から顔をそらした。

続きを聞くのが、怖い………



「だけど…っ、陸が離れてくって思ったら…あたし…」

「もういいよ、雫。俺がちゃんと弟をすれば…」

「違う!」

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