もう弟なんてやめてやる。
俺の言葉を遮るように
雫から出た大きな声。

驚いて目を見開いた。


───何…?


拳を握りしめていた手から
力が抜けていく。

目の前には
真っ赤な顔の…、雫。



「あ、あたし、も…陸が好き…」

「………」



え、今…何て…?


全身の血が騒ぎ出すような
感覚に陥って。

ドクンドクン、と
心臓が力強く脈打つ。


陸の身体と思考がフリーズした。



「………陸?」

「…………」

「ごめん、ね…。陸がずっと苦しんでたこと…何も気づいてあげられなくて。…今更だって分かってるの。でも、伝えたかった」



声を震わせながら
下に俯く雫に

陸の指先がピクッと動く。
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