もう弟なんてやめてやる。
『陸が、好きなの』
雫があの日、
どんな想いで俺に返事をしたのか…
俺と同じように
悩んで苦しんで、
それでも好きと
言ってくれたのだとしたら…
「っ、」
たまらなくなって、
泣きそうになった。
「雫…」
今でも自然と口から出る、
愛しい人の名前。
陸が膝を抱えて顔を埋めて、
唇を噛み締めた。
「…行ってこいよ」
「!」
「俺はお前たちが揃ってないと、面白くないんだよなー」
そう言いながら
飯田が顎をクイクイ動かして
行け、と合図を送る。