もう弟なんてやめてやる。
雫の手が
陸の手へとゆっくりと伸びた。
「違うよ、陸。あたしは陸と一緒に居れることが幸せなの」
「…………」
陸の目が見開く。
飯田に言われた言葉を
思い出した。
“誰と居て幸せかなんて、雫が決めること”
でも、
「…どういうことか、ちゃんと解ってる?」
俺たちは、
血の繋がった“姉弟”なんだ。
「解ってる」
「………」
「でも、あたしは陸と居たい。周りには話せなくても、認められなくても、陸となら…乗り越えられる」
「っ」
何で雫は、
そんなに真っ直ぐなんだ…
俺は目元を隠すように
顔を手で覆って。
下を向いた。
「…陸?」
「は…、本当…雫には泣かされる」
「?」
「…俺、でいいの?」
「うん、陸がいい」