もう弟なんてやめてやる。
「雫ちゃん、俺とやり直そ?」

「え…」

「俺、まだ雫ちゃんのこと好きなんだ」

「っ、あたしは…」

「雫ちゃん!…俺のとこに、来て。俺なら普通の幸せをあげられる」



“普通の幸せ”……?


有無を言わさないような
雰囲気に飲まれそうになって。

クラッと、

目の前が暗くなる。


その時、
町田の視界に入った雫の首もと。

ゆっくりとチェーンへと
手を伸ばした。



「…これ、いつも付けてるよね?」

「!」

「誰かに貰ったの?」



その瞬間、

クイッとチェーンが
引っ張られるのが解って。

雫が首を振った。

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