もう弟なんてやめてやる。
「さよなら…。どうか幸せに…なって…」



百合が遠ざかってく
陸の背中を見つめて、

走り出した。


向かうのは、

───────町田の元。



「町田くん!」

「………」




後ろから聞こえた声に
町田の目が見開く。

足が止まった。



「………町田くん、」

「明石さんは、…もういいの?」

「え?」

「陸くんのこと。…あの2人、きっともう…」




どうしようもなく、
想い合ってる。

冗談でも
気の迷いでもなく

本気で──…

町田がその場にしゃがみ込んだ。


「っ」


肩が震えて、
泣きそうになるのをこらえた。
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