もう弟なんてやめてやる。
「雫!」

「!?」



陸の声にビクッと
雫の肩が震えて。

慌てて涙を拭った。


しゃがみ込んでる雫に
陸がゆっくり近づく。



「…雫?」

「あれ、陸どうしたの?」


何事もなかったかのように
立ち上がって笑う雫に、

胸が痛んだ。


目が赤い上に
無理矢理笑ってるのが分かる。

胸が、締め付けられて。


陸がそっと────、雫を抱きしめた。



「…ごめん、ね」


泣かせてばかりで。
辛い想いばかりさせて。

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