もう弟なんてやめてやる。
自分より小さい姉が自分のために
町田に立ち向かったんだと思うだけで、

涙が出そうになって。


「無事で、良かった………」


陸の声が震えた。

雫の存在を確かめるように
さらにギュッと抱きしめる。



「っ、ごめ…なさい」

「…雫は、もっと女の子だっていう自覚持たなきゃ…ダメだよ」

「でも、あたしも陸を守りたかった」

「…じゃぁ、俺を振り解いてみなよ」

「えー…」



と言いつつ、
雫がグッと陸の胸を押した。

でも、ビクッともしなくて
さらに陸の腕の力が強くなる。



「く、苦し…」

「…ね?無理でしょ?男には勝てないんだよ」

「…はい」

「雫は俺に守られてたらいいの」



ふっ、と笑うと陸が
そっと離れて、

雫の手にネックレスを置いた。
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