もう弟なんてやめてやる。
自宅。
午後11時。

真っ暗な廊下で、
雫が陸の部屋のドアをノック。

するとすぐにガチャ…と静かに
ドアが開いて陸が出てきた。


「雫?どうしたの?」

「お、お母さん達もう寝たから、陸と一緒に居れるかなと思って…」



ヒソヒソと話をしてるのが
何だかいけないことしてるみたいで

妙にドキドキする。



「部屋、入ってもいい?」

「…いいけど、眠くないの?」

「うん、今日は目が冴えちゃって」



雫が陸の部屋へ入ると
バタン、とドアが閉まった。


「あ、あの……」

「ん?何?」



部屋に入るなり
陸の服の裾をきゅっと引っ張る。

陸は…我慢してくれてるの?、
とは聞けなくて。

目が泳いだ。

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