もう弟なんてやめてやる。
パタン…


ベッドでスヤスヤと眠る雫を置いて、
陸が静かに部屋を出た。

暗い階段の灯りをつけて
1階へ…


ガチャ…と開けたのは
両親の寝室。


すぐに陸がこの前見つけた写真を
躊躇うことなく物色した。



────もうすぐ、

両親が旅行から帰ってくる。


そうなったらこの写真を
見るのは難しくなる。


「………」



陸の手が1枚の写真を眺めて
ポケットへ入れた。


若い男女が──、


笑いながら写っている写真を。
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