もう弟なんてやめてやる。
「雫!」

「やだっ、離してよ」

「話聞いて」

「聞きたくない!」




自分の腕を掴む陸の手を
雫が振りほどこうと激しく抵抗した。

こんな雫を見たのは
初めてで。

こんなに拒絶されたのも初めてで。


陸が唇を噛み締めた。


周りからは痛いくらいの視線。

俺たちが注目されるのは
1番マズい……


「!?」

「動かないで」


陸が暴れる雫を抱えて、

その場から逃げるように
移動した。


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