もう弟なんてやめてやる。
バタンッ…!


キュッ…

急いで蛇口を捻って
顔を下に向ける。


「ゲホッ…っ」


そして、
無理矢理咳き込んだ。


「…っ」


出るのは…唾液だけ。


それでも、

何度も
何度も

唾液を吐いた。


無理矢理咳き込むことで
喉が傷んでも、

口の中が汚いような気がして
仕方なくて。

出来るだけたくさんの唾液を
吐き捨てた。


「……、」


そして気づく。

いや、俺はもうすでに汚ない…



キィ…


「………!」


そこへ入ってきた
見覚えのある1人の────、男。

バチっと目が合った。


「………」

「………」


俺がこの世で、
1番会いたくない奴…

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