もう弟なんてやめてやる。
「わぁ、見てみて!」

「…ネックレス?」

「可愛い♪」



両親への土産を買うのに
下見ついでにたまたま入った店。

そこで雫がキラキラと
目を輝かせてる。



「…欲しいの?」

「欲しい!あ、でもあたしあまりお金ないんだった」

「…買ってあげよっか?」

「へ!?い、いいよ!そんなの悪い」

「何で」

「だって、弟に買ってもらうなんてあたしの立場が…」



───弟、か。


「雫のプライドなんて知らない。俺が買いたいの」

「えー…じゃ、じゃぁこれが…いい」



遠慮がちに雫が手に取った
1つのネックレス。


そのネックレスのチェーンには

小さい赤色の宝石が
ぶら下がっていた。

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