もう弟なんてやめてやる。
密室に入ったのは
失敗だったな…

そう思いながらも
俺の瞳は雫を捕らえたままで。



「…雫、」

「ん?」

「最近、町田と話してる?」

「え…どうしたの、突然」

「ちょっと気になった」



じっと見つめると
雫はふはっ、と吹き出すように笑って。


「なーにー?陸もあたしと同じで、あたしが取られそうで嫌なの?」

「…………」

「んー、確かに最近よく話しかけてくる…かな」



ドキッとした。

町田は本当に動き出してる──…


グッと拳を握って、
唇を噛み締めた。


─────早く自分のものにしないと

取られるぜ。




あの男に………。



悪魔が、

悪魔が俺の頭の中で囁く…

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