もう弟なんてやめてやる。
嘘だよ…

そんなのただ適当な
理由を言っただけ…

それでも俺は誤魔化すように
雫に笑いかけた。


雫はどっちかっていうと
成績はいい方じゃない。

でも俺が側に居たいから、

だから俺は雫のレベルに合わせるんだ。



「そう言えば、課題終わった?」

「…あ、…うん。終わった…かな?」

「………終わってないんだな」

「えへ…っ。さすが陸。何でもお見通しだねー」

「バーカ。雫のことは何でも解るんだよ」

「へへ、双子だもんね」



“双子”


そうだよ、俺達は双子だ。

雫が俺のことを
男として意識なんてするはずがない。


それが、

普通なんだ。


俺が、


──────異常。



「ね、陸。暇だったら教えて?」

「はいはい」

「あ、馬鹿にしたでしょー」

「馬鹿じゃん」

「酷いっ」



でも、俺は
そんな雫が可愛いと思ってしまう。
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