ももいろの黒。
ぜんぶ終わってしまうと、男は
わたしを家まで送ってくれた。
「また連絡するからね、バイバイ。」
車の窓からわたしに向かって声をかけた
「はい。今日はありがとうございました。」
わたしにこりともせず
言葉を返す。
すると男はいつものように
がっかりしてため息をつく。
そして男は決まってこう言う。
「もっとさあ、可愛げ持とうとか思わないの。なんっか高飛車にみえんだよなあ。」
何かの標語や有名なセリフなのだろうか、一言一句変えることなく男は別れ際に同じことを言う。
わたしはその言葉を無視して
家へと歩き出した。