記憶の欠片をたどって
プロローグ
目を覚ますと視界に広がってくるのは
汚れ1つ無い真っ白な天井
聞こえてくるのは部屋に鳴り響く
無機質な音
そして誰かの泣きじゃくる声
必死に目を凝らしてもその顔はボヤけていたが男の子であることは明らかだった
見つめているとだんだんと聞こえてくる
「ごめん」
泣きじゃくりながらひたすら紡がれていく
ねぇ、教えて...
どうして私はここにいるの?
ねぇ、お願い、教えて...
どうして君は泣いてるの?
どうして君は謝るの?
...どうして?
幼い私は上手く動かない体で手を彼に向かって伸ばした
彼はその瞬間消えてしまった
私の手はいつも虚しく中を掴むだけ
私の意識は現実へと戻っていく
間違いなく私の夢だけど
確かに私の中にある
欠けてしまっている記憶の一欠片
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