雨のふる季節に。
「時雨、初めて会った日、
私時雨にキスしたの。
ごめんなさい」
窓を見ると、雨はもう止んでいた。
「雨の降る季節は、
もう終わりみたい。
今日で最後。
時雨といるとね、
本当に変な感じがして、
きっとこれが恋なんだろうなーって。
でも、これで大丈夫。
いっぱい泣いたし、
スッキリしたから」
時雨の顔は見なかった。
見たら、きっと何も言えなくなる気がした。
「今までありがとう。
ばいばい」
どんな顔してたかな?
気になったけど、全力疾走で保健室を出た。
すれ違う人が、私の顔を見ているのが分かる。
当たり前か。
私酷い顔してるもん。
何がスッキリした、なのよ。
全然スッキリなんてしてないよ。
涙が止まらない。
最後に言えば良かった。
“好きだよ”って。
回りくどい言い方じゃなくて、
素直に言えば良かった。