雨のふる季節に。
「う゛~あー。んん?誰?」
目を覚ましたのは、私がキスをしてから、10分くらいたった頃だった。
「萩原七瀬と申します!」
「んーなんでいるの?」
「じめじめしてて、なんとなく、
気分がのらなかったからです」
こないだ気象庁が梅雨入りを発表した。
チャリ通もできないし、
傘は差さないといけないし、
私は梅雨が大嫌いだ。
今日は、通学中に、
大きな車が私を横切り、
そのせいで水たまりが跳ね、
スカートがびちょびちょになった。
もう気分は最低だった。
「へえ。
雨、嫌いなんだ?」
「もちのろんです」
「じゃあさ、これから雨が降った日は、
今日みたいに保健室来て」
「へ?」
「だから、うん、来て」
待て。ちょっと待てよ。
私はこの人にキスをしてしまったのです。
それくらい、償いに従っても良いのかもしれない。
もしも、あなたにとって、
ファーストキスだったときは、私はもう、
死んでお詫びしないといけないくらいだ。