雨のふる季節に。
いるんだ・・・・・・。
好きな人。
あれ?でも・・・・・・。
「“だった”なんだ?」
「うん、そう。
もともと好きになっちゃいけなかったのに、
もっと好きになっちゃいけなくなった。
だから、もう忘れるんだ」
私は恋なんてしたことないから、
当たり前だけど、
失恋もしたことない。
「雨に流されちゃえばいい。
思い出も言葉も、全部。
雨と一緒に消えちゃえばいい」
時雨の肩は、小さく震えていた。
まるで、雨に打たれている捨て犬のようだった。
素直に抱きしめたいと思った。
誰かの温もりを感じてほしいと思った。
一人じゃないよ、って言ってあげたかった。
一人で泣かないで?
そんな寂しそうな顔しないで?
この気持ちは、恋?