雨のふる季節に。
もうすぐ梅雨も終わる。
ここ2、3日で梅雨明けするだろうと発表された。
降れ降れ坊主の効力もこれまでか、とげんなりする。
「こんにちわー」
保健室を見渡すと、時雨しかいなかった。
時雨はベットに天井を見ながら、寝転がっていた。
時雨が手でパンパンとベットを叩くから、私は近づいた。
「座って」
「は、はい!」
「ねえ・・・・・・。
俺さ、勝手にキスしたんだ。
美緒が結婚式挙げる前日に。
昼間はうちに来てて、
疲れて居眠りしてた時にさ。
その日もやっぱり雨が降ってた」
どきっとした。
まるで、自分のことを言われたかと思った。
結局私は、眠る時雨にキスをしたことを言い出せずにいた。
「俺ちゃんとね、
ファーストキスを取っておいたんだ。
美緒のために。
思い出としてしたんだ、本当に。
別にこの気持ちは秘めとくつもりだった」
時雨は、ごろんと態勢を変え、私に背を向けるようにした。
横顔が若干見える。
ここで、
私もあなたに同じことをしたよ。
そう言って、あなたの頭を撫でたかった。